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NAVAL UNIFORM

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今回は弊社所蔵で、「スーツの歴史」を知る上で資料的価値のある一着をご紹介いたします。
スーツの起源が軍服にあるのは有名な話ですが、この英国海軍(ROYAL NAVY)の軍服は、第2次世界大戦中の1943年に聖地サヴィル・ロウを代表するテーラー“GIEVES & HAWKES(正確には合併前の“GIEVES”)”で仕立てられたものです。
ダブルの8ツボタンで、背中は浅いサイドベンツになっています。
当時の持ち主はC.R.ブラウン海軍少佐と言い、実は皆様ご存知、英国最大のファミリーマーチャント“LEAR, BROWNE & DUNSFORD(リア ブラウン&ダンスフォード)”のブラウン家の方なのです。
名前が示す通り“リア ブラウン&ダンスフォード”は3つのファミリーマーチャントが合併して出来たのですが、跡継ぎのいなかったブラウン家は現在は事業から離れています。
肉厚のメルトン地で仕立てられたこの軍服は抜群のコンディションを誇り、60余年の長い歳月を全く感じさせません。服地は当時の“ブラウン”のもので、持ち込みだったと推測されます。
右上写真は海軍少佐をあらわす袖章。
左下写真は店名、製作日、シリアルナンバー、持ち主の名前が記載されたタグで、内ポケットの裏側に縫い付けられています。また、真鍮製と思われるボタン(右下写真)は現在でもメッキの状態が素晴らしくよく、光を反射して輝いています。
戦時中ということもあり、以前にご覧いただいた日本のテーラーさんのお話によるとかなり大雑把に縫われている部分もあるそうですが、今日も型崩れすることもなく威厳に満ちたオーラを放つこの軍服には、長い歴史と伝統を持つ英国の名門テーラーの誇りと高い技術が注ぎ込まれています。
ご興味のあるお取引先様は、ご来社の折に是非一度ご覧下さい。
このような貴重な一着を長期に亘り貸し出していただいている“リア ブラウン&ダンスフォード”には大感謝です。