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ANTIQUE SINGER SEWING MACHINE

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今回はMONOの話題を一つお届けいたします。
写真のシンガー製ソーイングマシンは私が昨年末購入したもので、スコットランドのグラスゴー工場(#)で1939年に製造された個体なのですが、実は購入に至る経緯には紆余曲折がありました。
もともと私は、日本のテーラーさんでもディスプレーや実際の縫製作業に使われているアンティークソーイングマシンに興味があり、出物があったら弊社のディスプレー用として購入したいと思っていました。
そして、昨年9月の出張でロンドンに行った際、“ポートベローマーケット”で一台売られているのを発見!
55ポンド(当時のレートで約11,000円)というリーズナブルな価格もありかなり迷ったのですが、持ち帰りのこともありその時は購入しませんでした。
しかし、帰国後心残りだった為、昨年末までサヴィル・ロウの名門テーラーで研修中だった弊社のお取引先(日本の老舗テーラー)の3代目にお願いし、私が行った3週間後の週末に買いに行っていただいたのですが。。。
既に売れた後でした!!(しかも、私が行った次の週末には売れていたそうです)
では、このソーイングマシンは何かというと、落ち込む私に「多分“ebaY(イーベイ=欧米のヤフオクのようなもの)で探せば見つかると思うよ」とアドバイスをくれた“リア ブラウン&ダンスフォード”のジェームス・ダンスフォード氏のサポートのもと、私の初体験となるネットオークションで競り落としたものです。
こちらは英国内送料込みで58ポンドでしたが、コンディションが素晴らしくよく、試していませんが問題なく使用できそうです(付属品も揃っています)。
現在、弊社の入り口付近にディスプレーしていますが、よく足を止めて見入るお客様がいらっしゃいます。
デジタル家電に囲まれた現在だからこそ、こういうアンティークの実用品に触れていると心が和みます。皆様も、フリーマーケットや骨董品店などがあったら是非覗いてみられてはいかがですか?

(#)シンガーのグラスゴー工場は、アメリカ企業である同社初の海外工場で、1867年に開設されたそうです。

FANCY CUFF LINKS

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久しぶりに“MONO”の話題を一つお届けいたします。
私は近年社内仕事が多い為、「ジャケット・ノータイ」が多くなってしまっているのですが、その反動もあってか外出時には「ダブルカフスシャツ・サスペンダー着用」のクラシックなスタイルをよく愉しんでいます。
ダブルカフスといえばカフリンクスですが、しっかりとしたルールが確立されている紳士服の中でも、数少ない「遊べるアクセサリー」ということで、英国でも多くの遊び心のあるカフリンクスが売られています。
写真のものは私の最近のお気に入りで、英国製のもの。
ご覧いただいての通り、クラシックカーのスピードメーターがモチーフとなっております。しかも、英国仕様でマイル表示になっており、英国車党にはたまりません。
他にシフトパターンやタイヤホイールをモチーフにした物も持っており、この3つが特にお気に入りでよく着けているのですが、話の種になったりと重宝することもあります。
日本でもショップやネットで多くのファンシーカフリンクスが手に入るようですので、普段あまりダブルカフスシャツを着られない方は、是非遊び心のあるドレスアップをお試し下さい!

VINTAGE ADVERTISEMENT

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今回は“MONO"ということで、前回の話題の中で触れさせていただいた古い雑誌広告をご紹介いたします。
前述の通り“ポートベロー・マーケット”に毎週土曜日出店している「ハドソンさん」は、幅広いコネクションを使い20世紀初頭のものを中心とした古い雑誌を発掘してきて、美しい絵や写真が使われた広告を切り出し販売しています。
オリジナルの広告には骨董品的な雰囲気と魅力があり、掘り出しもの探しは私のポートベローでの愉しみの一つです(一部コピー品もありますが、ちゃんと教えてくれます)。
左写真が今回購入した“ROLEX”のシリーズ広告で、右写真は“JAGUAR”の広告。(画像をクリックすると、大きなイメージがご覧いただけます)
“ROLEX"の方は1930年代、“JAGUAR”は戦後の比較的新しいものと推測されますが、年号の部分が隠れてしまっているので詳しくは紙枠を取らないと分かりません。
“ROLEX"のシリーズ広告は、ジャングル、高山、砂漠などの過酷な環境の中で実際にあった、同社の時計の堅牢さ、正確さを実証するエピソードを紹介するもので、私が今回購入したものは「ミラノ大学の教授が海の中に落とした時計が、しばらく経って発見された時も正確に時を刻んでいた」というストーリー。
他のシリーズも以前見たことがありますが、秀逸なアイディア広告に感心したものです。
“JAGUAR"の方は広告の右上に「EARL'S COURT STAND 157」の記載があり、当時アールズ・コートで開催されていたモーターショーに向けた広告であったことがうかがえます。
これらの広告をゴールドやシルバーのアンティーク調フレーム(額縁)に入れて飾ると最高に格好いいのですが、残念ながら私には未だに飾る場所が無く、中身ばかりが増えていく一方です。

SPECIAL GIFT

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今回は久しぶりに“MONO”について書かせていただきます。
2回に亘りお届けした“VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ・バルべリス・カノニコ/以下カノニコ)”への初訪問の話題でしたが、同社の素晴らしい工場を見学できた事と共にもう一つの収穫だったのが、現社長のご子息であるフランチェスコ・バルベリス・カノニコ氏との出会いでした。
なんと創業以来11代目にあたるという同氏はまだ37歳の若さで、欧米マーケットのセールスを統括する人物(残念ながらフランチェスコ氏の写真は撮っていませんでした)。
昼食にお招きいただき、日伊の業界事情や服地、スーツなどの話で大変盛り上がったのですが、驚かされたのは氏のスーツへの造詣の深さ。
英伊の多くの有名テーラーでご自分のスーツを仕立ててきて、なんと英国服地を使用したビスポークスーツも多く愛用しているとのことでしたが、自社製品に拘らないその探究心には感心させられました。
そんなフランチェスコ氏からいただいたのが、同社のスーツ用フラノ地で作られた非売品のシューバッグ(左写真)と、右写真のカノニコ製“4PLY”スーツ地。
ざっくりとした素晴らしい質感のこの“4PLY”スーツ地は、同社の倉庫の片隅にある経営陣専用の棚にリザーブされていたもので、同氏曰く「この棚の服地は、全て経営陣とその友人の為のエクスクルーシブなものなんだ」との事。
嬉しいプレゼントに、次回再会する時にはこの服地で仕立てたスーツを着て行くことを約束してきました。

NAVAL UNIFORM

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今回は弊社所蔵で、「スーツの歴史」を知る上で資料的価値のある一着をご紹介いたします。
スーツの起源が軍服にあるのは有名な話ですが、この英国海軍(ROYAL NAVY)の軍服は、第2次世界大戦中の1943年に聖地サヴィル・ロウを代表するテーラー“GIEVES & HAWKES(正確には合併前の“GIEVES”)”で仕立てられたものです。
ダブルの8ツボタンで、背中は浅いサイドベンツになっています。
当時の持ち主はC.R.ブラウン海軍少佐と言い、実は皆様ご存知、英国最大のファミリーマーチャント“LEAR, BROWNE & DUNSFORD(リア ブラウン&ダンスフォード)”のブラウン家の方なのです。
名前が示す通り“リア ブラウン&ダンスフォード”は3つのファミリーマーチャントが合併して出来たのですが、跡継ぎのいなかったブラウン家は現在は事業から離れています。
肉厚のメルトン地で仕立てられたこの軍服は抜群のコンディションを誇り、60余年の長い歳月を全く感じさせません。服地は当時の“ブラウン”のもので、持ち込みだったと推測されます。
右上写真は海軍少佐をあらわす袖章。
左下写真は店名、製作日、シリアルナンバー、持ち主の名前が記載されたタグで、内ポケットの裏側に縫い付けられています。また、真鍮製と思われるボタン(右下写真)は現在でもメッキの状態が素晴らしくよく、光を反射して輝いています。
戦時中ということもあり、以前にご覧いただいた日本のテーラーさんのお話によるとかなり大雑把に縫われている部分もあるそうですが、今日も型崩れすることもなく威厳に満ちたオーラを放つこの軍服には、長い歴史と伝統を持つ英国の名門テーラーの誇りと高い技術が注ぎ込まれています。
ご興味のあるお取引先様は、ご来社の折に是非一度ご覧下さい。
このような貴重な一着を長期に亘り貸し出していただいている“リア ブラウン&ダンスフォード”には大感謝です。

TAPE MEASURES

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今回は海外出張シリーズをお休みして、“MONO”の話題をお届けいたします。
テーラーにとっての必需品の一つに“テープ・メジャー”があり、これがないと顧客の採寸作業ができません。
その為使い易いメジャー選びが非常に重要になってくるのですが、今回は本場英国のテーラー達が愛用する逸品をご紹介いたします。
写真のメジャーは“BRASS END(ブラス・エンド)”と呼ばれる真鍮製の金具を先端に持つメジャーで、創業1895年のドイツの名門メジャーメーカー“HOECHSTMASS(ヘキトマス)”社製のものです。
こちらは片面ずつインチとセンチの両表記になっています。
正確さと使い易さを求められるメジャーですが、同社の製品はヨーロッパ中で高い評価を受けており、サヴィル・ロウの多くの老舗テーラーでも使われています。
ちなみに“ブラス・エンド”とは何の為にあるかご説明しますと、服を着たまま足の長さを計る際に、この金具を指で押さえながら使うと男性の大事な部分に触らずに正確な採寸ができるのです。
右写真の下の5本は幅が1/2インチ、上の5本は幅が3/4インチのもので(1インチは約2.54センチ)、各々3インチと4インチの“ブラス・エンド”が付いています。
弊社では、ライニング(裏地)・キャンバス(芯地)等の付属類も豊富にストックし、英国のテーラー達を幅広くサポートしている名門マーチャント“リアブラウン&ダンスフォード”を通して上記の2種類のメジャーを取り扱っておりますので、ご要望のお取引先様は弊社担当までご連絡下さい。
#恐れ入りますが、弊社お取引先様以外への販売はいたしかねますのでご了承下さい。(10本単位での販売となり、通常のAIR取りより長い納期をいただきます)

FULTON UMBRELLA

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今回は久しぶりに“MONO”の話題ということで、日本ではあまり知られていない「英国の名品」について書かせていただきます。
それは“FULTON(フルトン)”の傘です。
日本の伊達男の皆様には、英国の傘というと“FOX”や“BRIGG”などの高級ブランドのもののイメージが強いと思いますが、実は英国の一般の人々の間では“フルトン”の傘の方が圧倒的に認知度が高いと思われます。
それは全国各地の百貨店やショップなどの取り扱い店の多さが一因なのですが、特に同社の折りたたみ傘のシェアの高さは群を抜いており、ロンドン市内を歩いていてもいたる所で特製のスタンドに立てて売られているのを見かけます。
まだ創業50年程の比較的新しい会社のようですが、エリザベス女王の御用達証を与えられるなど既に高い評価を得ています。
同社の折りたたみ傘には様々な種類があるのですが、概して非常に軽量で、私が妻に買ったポップなカラーの一番小さいサイズのものは物凄い軽さに驚かされます。
私自身はプッシュボタンのジャンプ式のものを愛用していて、軽いのでいつもビジネスバッグに入れて歩いているのですが、最近どこかで無くしてしまいました...
写真の傘はジェームス・ダンスフォード氏(リア ブラウン&ダンスフォード社 4代目)が代わりにプレゼントしてくれた物です。
この傘で15ポンド(約3,500円)と全般的に価格もこなれていますので、英国旅行の際は「おみやげ用」としてもお勧めです。

UK DRIVING LICENCE

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今日はMONOの話題をお届けいたします。
私の出張の必需品の一つに“英国の免許証”があります。
これがあるとEU加盟国の全てで運転をすることができるのですが、近年の出張で車を運転するのはもっぱら英国のヨークシャー周辺のみです。
私が1995年に渡英した時はとりあえず国際免許証を持って行ったのですが、すぐに12年落ちの気合の入った中古車を購入した為、国際免許証だと更新が一年に一度だったり、自動車保険が高くなったりするので思い切って日本の免許を英国の免許に書き換えました。
時間と多少の手数料はかかったものの、無事書き換えが出来て現在は2ヶ国の免許証を保持しているのですが、現在は制度が変わり書き換えると元の免許が没収される為、両国の免許を持つのは難しいようです。
英国の免許証は現在紙の本体とプラスチック製のフォトカードで構成されているのですが(右写真)、驚くことについ8年程前まではこの写真の無い本体だけしかありませんでした。
勿論、名前と生年月日などだけで本人を判別することは不可能なので、私は夏休みなどに帰国する時には日本人の友人に免許証ごと車を貸したりとかなり大胆なことをしていました。
しかも、この本体の有効期限は満70歳の誕生日までなのです!!
この英国のおおらかさには私もビックリしたのですが、さすがに問題になったらしく現在は10年に一度更新が必要なフォトカードの保持が義務付けられています。
ただ、この本体とフォトカードは揃って携帯していないといけないのですが、本体の内容は全てフォトカードにも記入されている為、「なんで本体も持ち歩かないといけないのだろう?」と思うのですが、そこは「伝統と格式の国」英国の数ある不思議の一つなのです。
(ちなみに私の英国の免許証の住所は現在、主力取引先の一つ“リア ブラウン&ダンスフォード”の住所にさせてもらっています)

MONO⑥ SHEARS

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久しぶりとなりましたが、今回は“MONO”に関する話題をお届けしたいと思います。
左の写真のカッター(裁断士)用の大鋏は、私がまだこの業界に入って間もない頃に行った英国出張の際、週末に訪れたロンドンの有名なマーケット“PORTOBELLO MARKET(ポートベロー・マーケット)で見つけたものです。
確か40ポンド(当時のレートで約7,200円)位だったと思います。
通常の鋏の呼称である“SCISSORS(シザーズ)”ではなく、テーラリング業界では大鋏を意味する“SHEARS(シアース)”と呼ばれるこの鋏は、英国ではカッターが数年に亘る修行を終えた時に師匠から贈られる、とても重要なものだそうです。
この鋏は英国北部シェフィールドの“WILKINSON & SON”製で、お店の人曰く第2次大戦以前のものとの事でしたが、全長約40cmのとても大きなもので、その重みが歴史を感じさせてくれます。
今思えばものすごい破格で入手できましたが、やはり掘り出し物だったようで、その後も各地のマーケットで探しているのですが見つけることができません。
右の写真は、後日訪れたサヴィル・ロウの名門テーラー“HENRY POOLE(ヘンリー・プール)”で撮影した写真で、熟練カッターが裁断をしている時のものです。
この方の“SHEARS”も、若かりし日に師匠からプレゼントされたものだったのでしょうか?

TOYS FROM FRANCE

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2週間前の月曜日から土曜日の6日間、私の10年来の友人のフランス人の友人が奥さんと共に観光で初来日し、私は火曜日に代休を取って2人をささやかな東京ツアーに連れて行ってきました。
彼とは、私が95年に英国留学生活の第一歩を踏み出したヨークシャーのリーズにある大学で1年間一緒で、以来再会したのは3年前のパリの一度だけでしたが、季節の挨拶等は欠かさずにしあってきました。
お互いがリーズにいた頃、私がフランスに旅行に行った際に西部の町ANGERS(アンジェ)の彼の実家に招待してもらい、一泊でしたが家族の皆さんからも大変温かいおもてなしを受けたのを覚えています。
その時に「お返しをするから、いつか絶対に東京に来いよ!」と言ったのですが、それから11年経った今年ついに実現する事になったのです。
ちょうどリア ブラウン&ダンスフォードのジェームス・ダンスフォード氏の来日の前日で忙しい時だったのですが、そんな長年の友人の初来日でしたので、一日だけでしたが頑張って案内して来ました。
コースは、宿泊先の品川プリンスホテルに車で迎えに行き、お台場
-銀座-皇居-六本木ヒルズ-渋谷を廻り、夜は世田谷(烏山)の行けつけのすし屋といったものでしたが、2人とも楽しんでくれたようでした。
私にとっても、いつも車で通り過ぎるだけの皇居を初めて訪れ、一般公開されている東御苑に入ることが出来たのはよい経験になりました。
前置きが長くなりましたが、上の2つの写真は2人が私の息子達にプレゼントしてくれたおみやげのおもちゃです。
両方とも木で出来ており、左写真のものはねじ巻き式のオルゴールになっていて、音楽がかかると上に置いたキリンの形をした駒(磁石が入っています)がティーカップのように回り出します。
もう一方のものは、鳥の形をした操り人形です。
2人が現在住んでいる北部のLILLE(リール)周辺では、この様な木のおもちゃが今もポピュラーなそうです。
日本ではすっかり少なくなってしまった温もりのあるおもちゃを上の息子(2歳5ヶ月)は大変気に入ったようで毎日いじくりまわして遊んでいます。下の息子(6ヶ月)もそんなお兄ちゃんを見て楽しそうにしています。
遠い国の友人からの、嬉しいプレゼントでした。

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