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VITALE BARBERIS CANONICO ①

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今回の出張で初訪問となったのが、そのルーツを1663年まで遡るというイタリアミルの名門中の名門、“VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ・バルべリス・カノニコ/以下カノニコ)”です。
ミラノから車で約90分の町、ビエラ近郊のトリヴェロ地区に広大な工場を擁する同社は、紡績から仕上げまでを全て自社内で行いながら、年間約800万メーターという膨大な長さの高級紳士服地を生産しています。これはスーツに換算すると約270万着というとてつもない数になります。
日本ではイタリアを代表する服地のブランドの一つとして知られながらも、価格のリーズナブルさゆえ郊外型紳士服店や低価格オーダースーツ店で販売されることも多い為、“カノニコ”の服地に少しチープなイメージをお持ちの方も多いと思います。
しかし、同社の服地のクオリティーとコストパフォーマンスの高さは業界関係者の中では有名で、実は“カノニコ”の最大取引先は服地メーカーから世界的ファッションブランドに変貌を遂げたイタリアの“Z”社であったり、高級服地マーチャントとして知られるあの“S”社の多くの服地を織ったりしているのです。
前置きが長くなりましたが、左上写真はまるでカリフォルニアのIT企業の様に明るく開放的な同社のオフィス棟の、中心に位置する中庭。同社の敷地と建物は広大すぎて、全容を撮影することは不可能でした。
右上写真は原毛をストックする倉庫で、ウールやモヘアなどが大量に貯蔵されていました。
ちなみに同社の工場内は全工程で湿度が約80%に保たれているのですが、これはクオリティーの高い服地を製造する為に徹底されているそうです。
紡績された糸は高さが4階建てのビル程もある全自動・無人倉庫で保管され(左下)、次の工程へと運搬される際も無人フォークリフト(右下写真)で運ばれます。
私は今まで色々なミルを見てきましたが、“カノニコ”はその規模・先進性ともに突出しており、見学していて久々に興奮してしまいました。
-続く-