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VITALE BARBERIS CANONICO ②

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“VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ・バルべリス・カノニコ/以下カノニコ)”初訪問の続編です。
前回書かせていただいたように、年間生産量800万メーターというとてつもないスケールや、全工程で湿度を80%に保つことから始まる徹底したクオリティーコントロール。そして、服地の仕上げに利用する大量の水を、自社内でほぼ100%浄水し再利用するなど(イタリアの大規模ミルの中でもこちらだけとの事)、ずば抜けた先進性と高級服地生産へのこだわりに感心しきりの初訪問でした。
服地生産に関して私が最も驚いたのは“WEAVING(織り工程)”で、左上写真をごらんいただければお分かりいただけると思うのですが、織機(LOOM)がカバーで完全に密閉されています。左が密閉中の織機で、右が開いている状態です。
私は今までたくさんのミルを見てきましたが、このようにカバーがついた織機は初めて見ました。
特注品との事でしたが、その理由を尋ねると「第一は、工場内はたくさんの繊維片が空気中を舞っているので、カバーによって異物の織り込みを防ぐため。そして第2の目的は、耳栓をしていても長年工場内で作業していると耳が悪くなるので、作業員の耳を守るため。当社では20年前からこのような特注の織機を使用している。」との事。品質だけでなく従業員の健康にまで気を配る同社の姿勢には、本当に感銘を受けました。
右上写真は最新式の洗浄機で、全ての仕上げ工程が終わった反物は、不良箇所がないかどうか熟練工員によってしっかりとチェックされます(左下写真)。
そして出来上がった反物は、前回ご紹介した紡績後の糸の倉庫(全自動・無人)同様の倉庫(右下写真)に収納されていくのですが、ベルトコンベアーで次々に運ばれてきて、“UFOキャッチャー”のような機械で摑まれ同じく自動的に運ばれてきた籠に反物が落とされていく様は近未来的で、英国の伝統的もの作りを見慣れている私には非常に新鮮に映りました。
高品質のもの作りには、様々なアプローチがあることを実感させられた今回の訪問でした。