記事一覧

SAVILE ROW ② HUNTSMAN -Ⅱ-

アップロードファイル 252-1.jpgアップロードファイル 252-2.jpgアップロードファイル 252-3.jpgアップロードファイル 252-4.jpg

“ハンツマン”訪問の話題に戻ります。
サロンの片隅にはテーラー必須のフィッティングルームがあるのですが、この部屋の扉には最近“THE COLIN HAMMICK ROOM”というプレートが掲げられました(左上写真)。
これは“ハンツマン”の一時代を築き、数年前に他界された名カッター コーリン・ハミック氏を偲び、またその功績を称えるものだそうです。
この4畳程のフィッティングルームには馬の鞍なども置かれているのですが(右上写真)、これは乗馬服の仮縫いの際に使うもので、顧客は実際に乗馬する時の姿勢で正確な仮縫いを受けることができるのです。
こんなところにも、英国の紳士服が歴史と文化に深く根付いていることを窺い知ることができます。
さて、その後工房のある地下に降りたのですが、顧客の為にストックされた膨大な量の型紙を見ていると、案内していただいたセールスマネージャーの ピーター・スミス氏が「もうサヴィル・ロウでも作れる職人がいない」という古式の乗馬ズボンを見せて下さいました(左下写真)。
肉厚のコーデュロイで仕立てられたこの乗馬ズボン、技術的なことは私には分かりませんでしたが、この製法は継承されておらず、現在サヴィル・ロウにも仕立てられる職人が一人もいないとのことで残念な限りです。
少しずつ世代交代が進んでいるサヴィル・ロウですが、多くの熟練職人達が現在も活躍中ですので(右下写真)、その伝統的技術を後進にしっかりと伝えていっていただきたいと思います。