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SAVILE ROW ④ GIEVES & HAWKES -Ⅱ-

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以前はビスポークスーツの顧客専用だった階段を上がった2階には、“ギーブス&ホークス”が所蔵するアーカイブが展示された部屋があります。
有名な提督の軍服の実物や華やかな儀礼服など、英国王立陸・海軍の制服を長く手掛けてきた同社の輝かしい歴史を教えてくれる貴重な品々は、どれも素晴らしいコンディションが保たれており、重厚な雰囲気の部屋に整然と展示されている光景は圧巻です(上写真)。
名門とはいえ、一軒のテーラーがこのような貴重なアーカイブを所持し後世に伝えようとするその姿には、畏敬の念を抱いてしまします。
サヴィル・ロウのスーツが現在も世界中の紳士達から愛されているのは、こういったところにも理由があるのではないでしょうか。
ところで、この部屋の外には白い大きな箱が置かれていました。
案内していただいたセールスマネージャー氏曰く、「この箱は海軍士官が自分の艦に乗り込む際、軍服や身の回りの品一式を入れて運んだものです。ギーブス&ホークスではその昔、軍服とともにこの箱のオーダーも受けていました。この箱もギーブス&ホークス製なのです」。
様々な物が納まるように設計されたこの箱には、専用の銀食器などもセットされており、当時の英国海軍士官達の洗練された生活ぶりがうかがえます。
さて、最後は地下の工房へ案内していただきました。
残念ながらカッターの方々はホリデー中で、裁断作業は行なわれていませんでしたが、熟練テーラー達による縫製作業はしっかりと見学することができました。
今回は、以前に同店で修行されていた日本のある若手テーラーさんから、仲間達に渡すようにと手紙を預かっていたのですが、非常に仲がよかったというテーラーのアンドリュー・ゴメス氏(右下写真)に直接手渡すことができました。
笑顔が優しい温和な同氏ですが、その腕前はかなりのものとの事。
サヴィル・ロウのスーツは、こういった経験豊かな職人の方々の手によって、現在も一針一針縫われているのです。